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家電製品の事故防止について考える

1.序 論

先日、長崎グループホームの火災がTDK製の加湿器が原因である事が判明した事件がありました。この加湿器は1999年に火災の可能性があるとの事でリコール対象として2007年まで新聞広告やチラシで注意喚起がされていましたが、14年を経て今回の事故となったことについて考えてみたいと思います。リコールと言えば、自動車がすぐに思い浮かびますが日常品についても毎年約600件近い製品不具合が報告されており、部品交換や製品交換が行われている現実をご存知でしょうか。自動車のリコールは利用者の意識も高いこと、また定期点検が義務付けられており大抵は点検時に対応がなされている様ですが、日常製品特に家電製品については、住居移転や他人への譲渡などで所有者や利用場所が特定できない状況にあり、火災や人命に関わるイメージが結びつきにくいのか不具合の対応が見逃されているように思います。

3.本 論

製品メーカでは製品開発にあたって安全品質基準に基づき設計段階から製品試験まで管理されていますが、分業が進む今日では入社当初から設計部門や製造部門など配属部署が決まり、他の部署を経験しない背景があり、設計者は製造段階での作業リスク発生のメカニズムには気付かない、製造部門では図面の指示通りに加工製造を行っており、消費者がどの様な環境で、どの様な形で利用しているのかを意識していない。

大手製品メーカでは、多用な局面を想定し試験は行われており安全面での品質は高い状況にはあるがそれでも製品事故の発生は皆無ではありません。

また、消費者庁や消費者センターで製品テストを行い問題があれば注意喚起を行うとともに製品メーカに対して改善を促す事を行ってはいるが、膨大な量の製品が市場に供給されている状況では、全ての製品を検査することもできないのが現状と思います。

すなわち、事故や不具合が発生してはじめてリコールの注意喚起が行われることになり、消費者が注意喚起に気付いた場合は、リコールへの対処を行う事になります。

ここで、消費者が気付かなかった場合に今回の長崎グループホームのように14年を経て事故災害が発生することになります。

この様な消費者の見逃しにより時を経て発生する事故を未然に防ぐ方法について次の観点から考えてみたい。

【効果】 電気製品による、人身事故、火災事故などの人命・財産に係る事故の未然防止と早期対策を可能とする。

【利用目的】

電気製品に致命的な問題・不具合が発見された場合に最終利用者を特定することにより問題製品の回収・改良などを行い、人命に係る事故を未然に防止することを目的とする。通常トレサビリティは、「部材メーカの部材から製造工程・検査工程、得意先・顧客への出荷」までが対象範囲となっている。最終利用者まで対象とできないのは、購入者が最終利用者とは限らない、販売される流通経路の複雑さにより最終利用者が特定できないためであるが、この範囲を大衆である最終消費者までをトレサビリティの範囲として広げることで、人命および火災などの事故を未然に防止する。

【環境概要】

(1)製品環境について ①利用者が特定できない ②利用場所が特定できない ③何時、使用されるのか分からない (2)利用環境について ①製品は家庭電源を利用する ②家庭内LAN(Wi-Fi)が普及している ③屋外Wi-Fiが普及している ④CATV、光通信でのインターネット接続が普及している

【対策方法概要】 (1)製品に電力線通信機能もしくは無線LAN通信機能を搭載する。 (2)製品を識別する固有情報をICチップに記録し通信機能とともに製品に搭載する。 (3)製品を制御できるプログラムもICチップに持たせる。 (4)製品の電源ONで、センターに製品固有情報を送信する。(センター:後述) (5)センターへの通信は、火災警報器のような機器でセンターと通信を行う機器設置を行う。 (6)通信経路は、製品⇒通信機器⇒プロバイダ回線⇒センター (7)センターは、製品固有情報からリコール対象と判断したら製品使用制限もしくは、製品の異常音や表示部にメッセージを表示し、利用者に注意喚起を行う。

センター:製品メーカ、消費者庁でメーカー製品DB、製品固有DBを管理し消費者の製品に対し通信回線を通して製品に注意喚起を行う。センターは、公的機関とし情報の管理を適切に行う必要があるため製品メーカーではなく第三機関が望ましい。ここでは、対策方法の概要のみの説明ではあるが、このような仕組みを作り上げる事で製品利用実態の把握が難しい家庭電源を利用する電気製品等について、製品の制御を通して利用者への注意喚起を行うとともに、製品の所在も把握する事が可能になります。 この考えを発展させる事で、自動車についても電気製品と同様にカーナビやオーディオ装置に対して利用者に注意喚起を行ったり、利用制限を行うことが可能になります。 なお、本件については出願中です。 特開 2009-81671(P2009-81671A) 特願 2007-249495(P2007-249495)

ITコーディネータ 三谷 浩一

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