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中堅中小企業を対象にした実践研究会で得たもの。

<はじめに>
世の企業には「経営戦略」というものにとらわれずに、日々の仕事をこなしているところも多いだろう。
しかしながら、何らの戦略も考えずに会社を経営することほど危険なこともない。
なぜなら、必ず競争相手がいるのであるし、世の中は動き、変わっていくものだからである。

世の中が、何も変わらず今のままであってくれれば、自社の成功体験、もしくは他社の成功体験をなぞっていればいいだろう。また、世の中が、自社に合わせて変わってくれればもっとよいだろう。しかし、そんなことは金輪際ありえないのである。

世の中の環境、業界の環境、自社を取り巻く環境は必ず変わっていく。
その動きを何も気にせずにビジネスをしていくわけにはいかない。
さらには、自社の強みも弱みも変化していく。強みと思っていたことがいつの間にか
弱みになっていくこともある。それに気づかないことほど恐ろしいことはない。

私たちは、経営戦略をめぐる手法を紹介しながら、お客様と一緒になって経営戦略を策定していくことを体験していただく実践研究会を開催した。
この研究会を通してお客様との関係を強固にしよう、というのが狙いである。

<研究会の紹介>
私たちは「戦略課題実践研究会」というものを2008年9月から毎月4回実施した。

戦略課題実践研究会とは、
・自社の戦略目標の策定を日本経営品質賞/バランスト・スコア・カード(BSC)の
考え方を取り入れ、実務を通じて実践を行う研究会である。
・自社の課題を導き出すための実践的形式(ワークショップ形式)を取り入れている。
・他者(他社)から学ぶことができ、その結果自己啓発に結びつけることで、さらに理解を
深めることができる。

それでは、研究会の概略を下記に記す。
第一回目
1)今なぜCS経営が必要かを再認識していただく。ビデオ放映。
2)経営品質向上プログラムの全体枠を知る。
3)自己診断により自社の課題の傾向を認識する。
【課題】簡易自己診断のまとめ

第二回目
1)自己診断から問題点の気づき。
2)自社の競合環境/強み弱みを知る。
3)自社状況分析表を理解する。
【課題】自社状況分析表のまとめ

第三回目
1)自社状況分析表の見直しと理解の深化
2)BSCの概要を理解する。
3)戦略マップ/戦略目標の理解。。
【課題】戦略マップ/戦略目標の完成

第四回目
1)自社戦略マップ/戦略目標の理解の深化。
2)研究会の総まとめ。

今回の参加企業は、中古車販売業、車のコーティング剤の販売業、自動車部品の金型製造業、タイヤの再生ゴムチップの製造・販売業者、地場の総合建設業、大手製造業、地場の電力会社の保守子会社の七社であった。
この七社のうち大手の二社以外の企業からは社長、役員の方々が参加された。
同業者はあえて参加されないようにしている。どうしても隠すことが多くなるからである。

<お客様訪問>
この研究会を通してお客様との関係を強固にしよう、というのが狙いであると先ほど書いたが、そのためにまず私たちが研修以外に行ったのが、お客様のところに訪問させていただき、どのようなビジネスをされているのかを、実際にみせていただくことであった。

このことが、実はITコーディネータ(以下ITC)としての非常に強力な武器になる。
特に企業内ITCは、なかなか企業の代表者と接する機会が持てないのが実情である。
この企業訪問により、お客様の生の声を聴くことができた。
そして、この企業訪問の前後に、これまでにない環境の様変わりを経験することになる。

<環境の激変>
この研究会が開催されたのは、2008年の9月からであった。そしてリーマン・ブラザーズの経営破綻もまさしく9月であった。
その余波は徐々に伝わり、10月には津波となって日本に伝播した。特に自動車業界がその影響をもろに受けた。
研究会に参加した七社のうち四社が自動車関連企業で、まさしく未曾有の出来事である。突然仕事がキャンセルになったり、モノが売れなくなったということであった。世の中が劇的に変わったのであった。

<課題のフォロー>
この研究会が「実践」と銘打っているのは、毎回の課題で自社についてこの研究会で紹介されたツールを用いて次回に発表していただくからである。
しかし、お客様は日々の仕事できわめて多忙である。しかしながら私たちには、課題の内容に関しフィードバックするためのコメントを研究会当日までに作成しておく必要がある。
そこで、私たちが実行したことは、お客様のところに訪問して、進捗状況を見せていただくことであった。
ほとんどのお客様は予想されるように、手付かず状態なので、訪問したからといって課題が進むわけではない。
しかし訪問するおかげで、何とか締め切り前日までには提出していただいた。

<ITCとして得たこと>
最後にこの研究会を通してITCとして得られたこととしては、先にも書いたように実際のお客様のところに訪問したことがあげられる。どのような環境で、どれくらいの規模でビジネスをされているのか。そしてお客様の現場そのものを見られたことが大きい。

私たちは、いつもは自グループ内の営業職に研修を実施している。今回は私たちのグループの実際のお客様に研修をさせていただくことができ、違いも感じ取ることができた。
お客様は自社の経営をされているのである。私たちはしょせん企業内ITCである。そこが当然大きな違いである。
私たちはそういったお客様に、価値(いわゆるソリューション)を提供していく。そして、その価値に対する対価をいただいてはじめて、私たちに価値があることを改めて知った。

ITコーディネータ:大森 勉(0064102006C)

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