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製造業顧客向け独立ITCとしてどう想いどう起業するか

1、起業する意義
① 成熟経済下の日本の製造業
現在の製造業のビジネスモデルを大別すると、大きく垂直統合型と水平分業型に分かれる。
垂直統合型では、製品設計、部品設計から部材の調達、組み立て、販売、メンテナンスまでライフサイクル全体を自社の企業下で実行されます。
 当モデルの代表起業例は、トヨタ自動車や松下電器などですがこのモデルでは設計から生産、販売まですべてを自前で行いますので、他社との差別化も図れ利益が取れる仕組みが構築できます。
 
 一方水平分業では、同一製品においてスペックやインタフェースを公開することで標準化を進めセットメーカ、部品メーカなど複数の企業が、あたかも一体化したような形で企業活動を行います。水平分業型の代表例はパソコンで、セットメーカと部品メーカがそれぞれ自社の強みを生かし規模を大きくしながら共存共栄することでビジネスを構築してゆきます。
グローバル競争下にある現在、日本のセットメーカは付加価値をつけ収益を高める策として、これからも垂直統合型のビジネスを展開してゆくものと思われます。
  ここでの課題は精度の高いグローバルなマーケティングでありサプライチェーンの構築であります。 またこのサプライチェーンの中で主導をなす敏感にマーケットの動きを感知するセンサーとセンサーに連動した瞬間瞬間ごとの変種変量のものつくりの仕組みの構築にあります。
  一方部品メーカの多くは、ムラタ製作所や日本電産などの大手を除き相変わらず大手企業の下請けとして垂直統合型の一部機能として位置づけられ零細低収益組織から脱却できずにいます。
  これらの多くの企業は技術的側面から見ると、他社がまねのできない製造技術を保有しておりながらそれが評価されず現状に至っています。
  セットメーカのおごりでもあり甘えでもありますが、部品メーカもそこから脱皮する企業変革の動きができていない結果でもあります。
  本当に他社にまねのできない差別化技術であることのPRや設計と連動した一連の
短納期開発生産の仕組みや、多品種微量生産にするなど垂直統合型の一部機能から水平分業モデルへの脱却などビジネスモデル変革が必要となってきます。
② 製造業のIT活用課題
次に製造業のIT有効活用度について見てみなす。
 セットメーカ、部品メーカを問わず中堅以上の製造業ではほぼ押しなべて
・ 販売システムと販売分析管理システム
・ 製造、購買、在庫管理システム
・ 設計CADシステム
・ 会計システム
・ 人事給与システム
など基幹組織の基幹業務のコンピュータが稼動しています
しかしながらその実態は
・ 製造、購買、在庫管理システムではビジネス環境変化の波について行けずに
その結果、的確な手配計画が作成できず単なる注文書/製造指図書発行機に成り下がっており製造管理システムとして有効に機能している例は多くはありません。
また、基本をなす在庫管理精度が低い、BOMの維持管理ができない、などでシステムが動かない原因となっている企業が散見されます。 
・ 原価管理システムでは月締めの月次決算型で月中の収支予想が出来ない、また月末も仕掛りが不十分にしか把握で月次決算情報が当てにならない事態を引き起こしている。
また、需要変動対応として相変わらず在庫積み増し方の生産をおこなっており、実際販売に基づく収支管理になっていない。
・ 設計CADシステムでは、相変わらず2次元の製作図面作成機能にとどまっており設計のスピードアップやものづくりと直結した開発設計機能の仕組みを有していない。
③ 起業する意義
上記のごく製造業を取り巻く環境は大きく変化しており、その中で経営的観点からの課題や製造管理面からの課題に対応し、それにどう立ち向かっていいか答えを見つけ出せていない企業が多く存在する。
私は、これまで養ってきた経験、知恵を生かし、これら企業がより高収益で活力に満ち社会に貢献することで継続的に存在している会社であり続けるよう支援してゆきたい。
2、製造管理システム導入における問題点と原因/対策
 2-1、効果的稼動を阻害する要因
① 生産計画に基づきMRPをまわして手配しているが計画変更が多発して手配/手配変更が追いつかない
② 手配変更が多発し、何が正しい手配か管理不能になり発注者および納入業者とも混乱する
③ 内作製造においては、現場管理者が出荷計画書などに基づき独自の判断でものづくりを進めその結果、完成品の過不足を招いたり、使用部材の過不足を招く結果となる。
④ また計画とは別の動きとなるため現場の進捗や問題点の見える化ができなく、問題が内在化し、改善が進まない。
また原価の把握もできなくなる
⑤ 設計変更や新製品に対する部品表(PM/PS)の維持管理ができずあやまった手配や部品出庫指示となってしまいシステムが正常に動作しなく使い物にならなくなる。
⑥ 部材の置き場が明確化、固定化できていなかったり、勝手に入出庫されたりするため帳簿在庫と現物在庫との差異が多発し、正しい手配が出せないなどが起こり必要部材の欠品が発生し生産に支障をきたす。
⑦ 欠品防止のため安全在庫を見すぎ過剰在庫の原因となっている。
⑧ 長納期品に対し的確な調達手段が取れておらず、欠品/過剰在庫を起こしている。
⑨ ビジネス環境や調達環境にうまく適合できていないため、システムトータルとして効果的にものづくりを支援するシステムになっていない。
⑩ 高額を投下しシステムを構築/稼動させるもトップの思いの実現や、当初計画の効果が出せていない。
 2-2、効果的稼動を阻害する要因と解決策
  上記問題点に対し真因分析すると以下のように分類される
  2-2-1、システム導入前の準備PHASE
① 構築システムの目標値の未設定や目標値設定に対する達成手段の未整備および達成手段に対する成功要因の不明確さ
② 生産管理システムを不稼動に導く各種要因に対する自企業の業務遂行能力調査と問題点に対する事前業務改善の実施が行われず問題点が内在化したままシステム化される
  2-2-2、システム構築中のPHASE
① 業務の動きとシステムの動きの整合性をとる業務再設計が十分に行えておらず、稼動時のイレギュラー処理や問題発生時の対処を通してシステムと現場の動きが乖離してゆく
② 顧客要件を多く取り入れてしまったり過大な期待の仕組みを取り込む結果、システムのあちこちで不整合が発生したり、現場のちょっとした動きの変化にシステムが追従できず、結果現場が利用しなくなる。
2-2-3、稼動後のPHASE
① システム維持管理組織の未整備により現場のニーズを吸い上げれなかったり、また現場の勝手な動きを阻止できなかったりし、結果として現場の動きとシステムの動きが乖離しシステムが動かなくなる
② 部品表維持組織の未整備により、部品表精度が低く結果としてシステムが正常に動作しなくなる。
③ KPIの測定やPDCAサイクルを定期的にまわす活動がされずシステム稼動後の評価および改善が疎おろそかになり改善活動が進まない。
3、効果的製造管理システム構築/稼動に向けたソリューションの提供
上記各種原因に対処するため以下のソリューションを提供する
(1)システム導入に向けたKGI、KPI設定と達成手段の策定支援
 (2)製造業務円滑化に向けた現状業務課題の抽出と業務改善指導
 (3)システム設計フェーズにおける顧客要求事項の抽出とその選択およびシステム機能の設計
 (4)現状稼動システムにおいて効果的運用を阻害している要因の分析抽出と改善策策定および実施指導
 (5)効果的原価計算/原価管理システムの構築指導
 (6)導入企業様の立場にたちソリューションベンダーの開発管理
 (7)高付加価値ビジネスモデルへの転換指導
4、事業化に向けた活動
 4-1、提供ソリューションの明確化とご紹介資料の作成、実績のご紹介
 4-2、HPの開設
 4-3、起業PRと営業活動
・ これまでのビジネスパートナーへのPR(お付き合いのあったシステム販社)
・ これまでのシステム導入エンドユーザへのPR(どうするか思案中)
・ ITCビジネス推進グループへの参加
5、終わりに
  当レポートでは製造管理業務改善を中心にまとめた。
 私のもう一方の想いであるビジネスモデル変革については次回にまとめてみたい。
  いずれにせよ、上記3項で示したソリューションの提供を通して日本の中堅/中小製造業の発展に少しでも寄与できたらとの想いで事業に取り組んでゆきたい。
                          以上  
ITコーディネータ 白須 廣幸
2008/03/17作成

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