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コンサルタントとITコーディネータの違い

■ITコーディネータはコンサルタントなのか?

コンサルタントとは企業内だけでは解決できない専門的な問題を解決するための支援業務を行う者と思われます。特に問題を解決するために有効なソリューションを提案し効果を実証することだろうと思われます。ITコーディネータ資格を取得したとき経営戦略立案手法も勉強したのだから個人的にコンサルタント資格を得たように感じました。コンサルタントの定義自体が曖昧なので自分自身がそうだと思えばそれでよいのでしょうが、現在実際にITコーディネータとしての活動を行ってみるとどうも違うように感じております。ITコーディネータはコンサルタントなのか?顧客は何を期待して依頼してくれているのか?ITコーディネータはその名前のとおりコーディネータなのであってそんなに大上段に構える必要はないのではないか?それぞれの契約によって変わるかもしれませんが、自身の経験からコンサルタントとITコーディネータの違いについて考えてみました。

■コンサルティング開始

約1年前にある企業とコンサルティング契約を締結しました。上場企業で約5名の情報システム人員を有している企業ですが、30年来利用しているシステムのため現在の情報システム人員は運用保守業務が主体となってしまっており、現在在籍している人員でシステムを初めから構築した経験はありませんでした。そのシステムを全面的に刷新することとなり、その構築支援として契約いたしました。はじめは、ITコーディネータにおけるコンサルティング契約ですからプロセスガイドラインに沿って経営戦略から立案ですよとか、SWOT分析などを提案し実施しようとしたのですがどうもあまり乗り気でなく、そのような構築手法理論などは優先順位が低く必要性は感じてくれましたが、そんなことよりもっと重要なことがあるという返事で実行されませんでした。今回の契約は決して安い金額ではなく、ではもっと重要な問題とは本当に重要なのかと、こちらが悩むようになりました。

■でも必要とされている

元々依頼内容がITコーディネータにぜひプロジェクトに参加して欲しいというそんな程度でした。しかし、ITコーディネータのプロセスガイドラインが気に入って依頼されているわけでもなく、何か違う価値をITコーディネータに求めていました。プロセスガイドラインに沿った活動をしているわけではないのに、またその作業を行おうという思いもないのに、それでいて契約を切られるわけではなく、次は何時着てくれるのですかと、なぜか必要とされている状況が続きました。では何を行っていたかと言うと、システム構築を行っていく過程では様々な問題が発生します。コンピュータ専門用語の正確な理解、ベンダー側担当のSEが不満に思っていること、利用者が疑問に感じていること、そして経営者からの突然のシステム変更要望など、そのような様々な問題に対してどのように対応していくべきか、経験がないと中々出来ない作業だと思われます。またそもそもSEの不満、利用者の疑問などを気づき、すばやく対処していくことも難しいことであり、高度なスキルが必要になると思われます。そして導入を予定しているシステムはうまく業務に適用するのかどうかを見極める目利き力も必要となります。そのような情報システム構築に関しての相談役のような役割をしておりました。そのような過程で、もしかして顧客はシステム構築におけるITCのプロセスガイドライン理論の提供とその実行ではなく、この「気づき」と「目利き力」を求められてるのではないのかと考えるようになりました。さらには、問題点を気づいた時にわかりやすく伝えてくれて、解決のために中立的な立場で関係者を集めて対策を打てるコーディネーション能力を持った、まさしくITのためのコーディネータが求められているのではないかと考えるようになりました。もちろんプロセスガイドラインは重要でありその知識があるからこそ、必要な関係者をコーディネートし解決に向けた対策がうてるようになると思います。しかしプロセスガイドラインを知っていると言ってもその程度の知識というのも現実に感じました。それを顧客もわかっていたのではないかと考えています。

■情報システム室代行業はコンサルタント?

ITコーディネータとしてのコンサルティング契約は、自らが高度な経営理論及びシステム理論を伝え解決していくことではなく、顧客視点となって経営者の想い、利用者のシステムにおける疑問の相談窓口となる情報システム室の代行業だと考えるようになりました。役割が情報システム室ですから突然、経営者、利用者の方に対してまずはSWOT分析です、と言っても皆さんびっくりされるだけであり、受け入れられなかったのは当然だと現在思っております。それよりも、普段利用者及びSEがシステムについて感じていること、最新のITの活用事例ってどんな感じ、そして経営とITを結ぶ方法などを経営者と話し合えるような身近な相談窓口として存在するだけで非常に重要な役割を得ていると思われます。特に中小企業ではシステムにおける専門部署もないところが多く、このような役割を担うITコーディネータは今後特に重要になると感じました。契約していただきました上場企業でも実態はあまり変わりがないことが今回の経験で分かり、よりこの思いは強くなりました。資格を取得した時はコンサルタントになった気分でしたが、最近ではそんなに肩肘を張らず情報システム室代行業と考え、もし経営戦略立案などが必要であれば経営コンサルタントをコーディネートし、その結果をうまく情報システムへ反映できるように助言をすれば良いのではと考えております。ITコーディネータの役割は経営とITの橋渡しですが、トップダウンアプローチだけではなく、実際に情報システムを利用される方と経営者の橋渡しも非常に重要な役割だと思います。ITコーディネータはそれぞれの立場での想いを意見として取りまとめる。または聞いてあげる。そして理解してあげる。そんな人材だと考えるようになりました。それはまさしく情報システム室が担う作業でありコンサルタントの仕事ではありません。その作業を代行できる存在意義は、コンサルタントではないITコーディネータとしても、特に人材不足の中小企業にとっては非常に重要な役割であると思われます。

ITコーディネータ 認定番号:0023112004C長尾 道晃

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