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企業のITレベル向上について

1.はじめに

最近は、パソコンを導入して教えている学校もあり、パソコンが使えない人はかなり減ってきました。しかし、パソコンに慣れない人がまだ多く、会社に入って初めてパソコンを触ったという人も珍しくありません。昨年、事業仕分けで世界一速い処理能力を持つスーパーコンピューターの開発が取り止めになったことは残念なことです。スーパーコンピューターの処理能力と、それを持つ企業の数が国力に影響するのと同じ様に、従業員のパソコン操作スキルの向上と、パソコンを扱える従業員の数は、企業力に大きな影響をもたらすことは、誰もが分かっていることでしょう。

2.序論

IT企業や、企業の管理部門などに当てはまらない話ですが、多くの企業の現場ではパソコンを使える人が重宝されているという事実があります。また、普段パソコンを利用している部署にいる人たちも、単純な入力作業なら出来るが、それ以上のことは出来ないという人も多いようです。現在は、従業員のパソコン操作スキルを向上させるために、多くの取り組みを行っている企業が増えているようです。

一口にパソコンの操作スキルと言っても、いろいろなレベルがあります。①文字の入力が出来る。②表計算ソフトで単純な計算やグラフの作成が出来る。③マクロを組んで、データを自由に扱えるなどです。他にもトラブルを解決したり、専門ソフトが扱えたりといったこともあるでしょう。問題はこういった能力を持つ人をどれだけ育て、企業のITレベルを底上げするかだと私は考えます。簡単に言ってしまえば、全員が最低限の操作スキルを持ち、さらに向上させる意識を持たせ、スキルの高い人の能力をさらに向上させる土壌作りが大切なのです。

3.本論

【パソコンを使える環境づくり】

パソコンの操作スキルを向上させるには、まず従業員一人ひとりにパソコンを与えなくてはいけません。グローブとボールを与えずに、キャッチボールが上手くなるわけがないからです。ただ、業務上ほとんど必要がない部署もあると思います。そんな時は人数分揃えなくてもよいとは思いますが、作業がパソコンを扱える人に集中しない様に配慮するべきだと考えます。集中してしまうと、他の従業員のパソコン操作スキルは向上しないままとなり、パソコンを扱える人はそれが負担となり自分の仕事が出来なくなるからです。

【意識改革】

以前、新卒の女性と彼女の仕事のことで話したことがあります。彼女の会社は建材の設計を行っている会社で、彼女が入社する半年前にCADを導入したのですが、誰もまったく操作できなかったという事でした。基本的に手書きで製図を行っているそうです。彼女は入社するといきなり2日間のCAD研修に行くように指示され、帰ってくると図面を作成しろと指示されたそうです。彼女はこの時、初めてCADを触ったそうです。2日間の研修では、高度な図面を作成することが出来なかったのでしょう。彼女は、「高い研修費を払って研修に参加させたのに、なぜこんな図面も作れないんだ。」と社長に責められ、入社後2週間で退職したそうです。気の毒な話ですが、もしこの会社の社長が、本気でCADを使って仕事をしようと考えているのなら、半年もCADを眠らせずに、既存の従業員に指示し最低限の操作が出来る様にしたでしょう。既存の従業員がCADを利用するのを嫌がったのかもしれませんが。

余談になりましたが、パソコンの操作スキルを向上させるには、従業員がスキル向上を目指す様に意識改革を行うことも、重要な要素となります。先ほどのCADの例でもありますが、彼女が入社する前に既存の従業員が少しでも勉強して、操作が出来る様になっていれば、この様な不幸な事は起きなかったでしょう。

企業がより高いIT化を目指すのであれば、トップマネジメントからの動機付けが必要だと思われます。

企業がITスキル向上の動機付けに成功していると思ったことがいくつかあります。一例を挙げると、私の知っている企業の定年前の従業員の話ですが、彼は業務でパソコンを使い始めてから3年が経っていました。1年前までスキル的には文字を入力したり、表を作成できるレベルだったのですが、最近ではグラフを作ったり、ピボットテーブルを利用したりと、急にスキルが向上していました。どうして急にそんな事が出来る様になったのか尋ねてみると、会社内で行っている月一度のパソコン教室に通っており、女性のインストラクターが毎回褒めてくれるので、やる気が出てきたとすごく楽しそうに語っていました。彼の頑張りもそうですが、このインストラクターのコミュニケーションスキルが優秀だった事は用意に想像できます。ちなみにこのパソコン教室は、この会社の上層部の要請で行う様になったそうです。

4.結論

従業員のパソコン操作スキルを向上させるには、パソコンを与えるのはもちろんのことですが、スキルを向上させたいと考える様に、意識を変える事が大切だと考えます。

それは容易ではありませんが、まだITスキルが低いと思われる企業は、パソコン操作を個人に押し付ける文化を排除し、全従業員が最低限の操作を出来るようにするところから始める必要があると思います。

ITC 中谷正明

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