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家電事故防止について考える(2)

家電事故防止(2)

1.はじめに
「家電事故防止」を掲載させて頂いてから今年で、2年になります。
その後、エネルギーに関する国の動きや日本国内原発の全面停止などの動きもあり、電力発電量の管理から、電力消費をリアルタイムに把握し無駄のない電力供給の動きです。
それに伴い、情報システム(IT)観点での動きも大きいものがあります。そのひとつがスマートグリッドに向けた動きです。
従来、電力は大量発電による使い捨てが基本的な考え方で、電力の実消費は検針作業の結果として集計され把握されます。
すなわち過去の結果として実際の消費量が確認されます。ある程度の消費量の予測はできた としても、最大消費量を満たすだけの電力を発電により提供する必要があります。
そのため、自然の影響と温暖化対策を考えると原子力発電に行き着きます。しかし、電発の安全性の国内議論により原発の縮小化を考えた時、現状の発電設備で電力の安定供給を以下に行うのかを考えた時に、電力消費量をリアルタイムに把握し、余剰発電設備からの電力を融通することが必要になります。
ここで、スマートグリッドとITが結びつく事で各家庭や事業所の消費電力が30分単位で把握する事が可能になります。消費電力がリアルタイムに把握できる事は「必要な場所に必要な量」の電力の供給が可能に なります。
また、検針作業が不要となり電力事業のコスト削減となります。
スマートグリッドにはHEMS(Home Energy Management System)の機能があり、各家庭の電気機器の電力消費量を収集し可視化し管理することが可能になります。
ここまで、スマートグリッドでの消費電力消費の観点で述べてきましたが、本論の趣旨である「家電事故防止」について考えてゆきたいと思います。

2.序論
電力会社のスマートグリッドは大きく「電気メーター制御」と「HEMSによる家電との接続」の機能で構成されます。このHEMSの機能を使用することで、家電製品の情報を収集し、制御することも可能になります。

※今は、技術面、製品コスト面と管理体制を含む社会環境が未整備で実現されていない状況です。

ヘッドエンドシステムでは、一般家庭や事業所に設置された電気メーターから使用電力量の収集やメーターを制御することが可能で、電力会社の用途としては上位システムからメーターを制御することが主目的ですが、HEMSにつながる一般家庭の電気製品の情報収集と制御を行う機能を加えることで、家電事故防止」が可能になるのではと考えています。
この仕組みは、家電製品だけではなく次のようなシステムへの展開も可能になります。

・電力メーター        ・交通監視(自動車通行量管理)
・ガスメーター
・監視カメラ(通行量管理) 

3.本論
ここまでの説明で、皆さんも想像できると思います。
家電事故防止とヘッドエンドシステムのつながりについてこれから説明をさせて頂きます。
まず、背景としてテレビ新聞で皆さんご覧になられる「家電の不具合による火災事故」による死亡事故があります。
そのため製造メーカーは不具合製品の回収のために、製造メーカーは製造責任があるため、必死になって「家電の不具合製品」の回収活動を続けていますが、家電製品は消費者の転居、貸し借り、譲渡などで所在が特定できないのが現実で、既に廃棄されたのかも判断が出来ない状況があります。
「家電事故防止」に関するシステム概要について述べてゆきます。

(1)ネットワーク接続方式
電気製品は当然、家庭の電源コンセントに接続しないと使用することが出来ないことは皆さん周知のことです。
そこで、通信線方式に電力線と無線マルチホップ方式を用いた通信方式を利用することで、既設の電力配電網(電柱配電)と家庭内の電力線(PLC)、WI-FI無線など用いて、家電製品の通信部と家庭内に設置された収集装置(コンセントレーター)を接続しスマートメーターと呼ばれる電気メーターを経由して、管理制御システム(ヘッドエンドシステム)と接続することが可能になります。この家庭内の仕組みをHEMSと呼びます。
電気メーターとヘッドエンドシステムは、家屋近くの電柱に設置されたコンセントレーターと無線通信(マルチホップ)を利用することで、通信線の敷設を行わずに接続することも可能になります。

(2)ビッグデータとの連携
個々の電気製品には事前にMacアドレスを付与することで、製品メーカーや製品を識別することが現在でも可能
となっています。
一般家庭に設置されたHEMSが、電気製品のMacアドレスを保持しヘッドエンドシステムに通知することでヘッドエンドに接続されたビッグデーターに蓄積することで、製品メーカーは不具合製品のMacアドレスでこのビッグ データー検索することで問題の製品がどの家庭のHEMSに接続されているかを知ることが出来ます。
HEMSは家庭・事業所に設置されたスマートメーターに接続されているため、スマートメーターをビッグデーター照合することで、住所まで特定することが可能になります。
次にソウフト面での課題について述べます。

(3)データー管理の課題
電力会社の配電網の利用となるためスマートメーターの管理情報は、電力会社がにHEMSで収集された家電情報は、電力会社のシステム上に存在し、家電情報は家電メーカーのシステムに存在することになります。
この異なる業界が所有する情報は、個人情報になりどのような形で共有もしくは相互利用を可能にするか解決する必要があります。
そのためには、経産省の関係第三者機関で管理するような管理構造を設けて運用する仕組が必要と考えています。

(4)家電製品の課題
HEMSに対応する家電製品は以前より開発が進められており、通信プロトコルも企画化が進められています。
仕様の異なる多様な家電製品の収集情報の規格・統一がまだ進んでいないこと、この規格は国際基準(ISO)として国内外に適用できる必要がある。HEMSに接続するための通信モジュール、家電製品の消費電力量などを収集する情報収集モジュールを家電製品に付加するための製品コストの対応が考えられる。 

(5)データーの鮮度
ここで問題となるのは、電気製品は移動や廃棄されるためどの様にして所在を確認するかと云うことになります。
解決方法として、HEMSに蓄積される電気製品の情報を最新な状態に保つ必要があります。これは、HEMSに接続に接続された時にビッグデーターに登録を行い、一定期間応答がない場合は、データベースから削除を行う方法で、ビッグデーターに蓄積される情報を最新の状態に更新する仕組みを作り込むことで可能になります。

4.最後に
電気メーター、HEMS、ヘッドエンドシステム、ビッグデーターを用いて、一般家庭にある電気製品を特定することになるため、某コンピュータベンダーが定期券情報を収集し情報を販売使用とした際に、個人情報の問題から中止となった事件がありました。
同じか、それ以上に個人情報に関わる範囲が広がるため、さらに厳しい規制を設ける必要がある様に思います。
たとえば、電力会社が消費電力量を把握するだけであれば問題はありませんが、設置された電気製品の情報を収集したり、冷蔵庫の中身やテレビの視聴内容まで収集できるような仕組みまで発展の可能性を考えたときに、これまでに述べてき「家電情報の収集」については、一企業が行うべきではなく行政機関の管理のもとで行うべきと考えます。

以上、
2015年2月14日 
ITコーディネーター
    三谷 浩一

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