1.はじめに
インターネットが普及し始めてから10年以上の年月が経っています。多くの企業がホームページによる集客を行っていますが、中小の企業では、ホームページ制作に対して、敷居が高いと感じているところも多いようです。しかし、今後ビジネスを優位に展開しようと考えた場合、ホームページによる集客は必須になってきました。
2.序論
ホームページによる集客は、それをすることで可能になる事がわかっていても難しくてなかなか作ることが出来ないということが多いようです。
ある個人経営の語学教室では、生徒が集まらずに困っていました。生徒募集雑誌に掲載をしても客からの反応はほとんどなく、開店休業状態が長く続いていたのです。語学教室の代表はホームページ作成ソフトで、1ページだけのシンプルなホームページを作成していましたが、一日の閲覧者数は0という状況でした。代表は、しっかりしたホームページを作りたいと考えていましたが、ITに関する知識がなく、集客を諦めていた様です。
代表は語学教育に熱心で、母国の言葉を日本人に正しく教えたいという気持ちが強い人でした。できるだけ多くの人に、代表の母国でも通用する母国語を教えたいと考えていました。私はこの方の支援をさせて頂く事になりました。
3.本論
【現在の問題点を確認する】
ホームページによる集客は、
(1)ホームページの作成
(2)ホームページの宣伝
の二つに分けられると考えています。
(1)のホームページの作成は、ただ作るのではなく、ホームページに訪れた人がその商品を欲しくなる様に工夫することが大事です。
現行のホームページは、受講できるコースと、その料金が書かれただけのシンプルなものでした。
これだけでは顧客がここの語学教室の良さがわからないため、代表にこの語学教室の強みと弱みを検討していただきました。
(2)のホームページの宣伝は、大手の語学専門サイトに紹介してもらう事や、検索エンジンの重要検索キーワードで検索上位に表示してもらう事です。
現行のホームページはどこからも紹介(リンク)されておらず、また検索エンジンの検索でも100位圏外であり、顧客がこのホームページに行き着くことは不可能な状態にありました。
【ホームページの内容を検討する】
代表に語学教室の強みと弱みを検討していただいた結果を吟味し、アピール出来る事をあげて頂きました。その中に、他の語学教室には無いアピールポイントがありました。また、これは多くの学生にとって悩みの解決にも繋がることでした。
このため、そこに焦点を当ててホームページを作ることにしました。
また、個人事業といっても、昨今の個人情報を重視する社会の傾向を意識してもらうことが重要です。そこで代表には個人情報保護についての勉強していただきました。そして個人情報を保護する姿勢をホームページでアピールする事をすすめました。これにより、代表一人だけの教室でも、顧客にしっかりした語学教室であることを訴えることにしました。弱みである、個人であるがために大手より経営姿勢がしっかりしていないのではないかという顧客のマイナスの先入観を払拭する効果も狙いました。
【ホームページを宣伝する】
ホームページを作っても、顧客に見ていただけなければ意味がありません。
現在の状況では新しいホームページを作っても、だれにも見ていただけない事は確実です。
多くの顧客にホームページを見ていただくには、検索エンジンに上位表示させることが一番効果的です。これには、多くのホームページやブログからリンクを貼ってもらうことが有効だといわれています。しかし、それはすぐに出来ることではありませんので、まず語学教室の専門サイトに登録することをご提案しました。語学教室専門サイトは数十サイトもあり、すべてのサイトから新しいホームページにリンクを貼ってもらうことにより、顧客の誘導とSEO(検索エンジンの上位表示対策)効果を狙いました。
次に、ホームページやブログを持っている友人にリンクを貼ってもらうようにご提案しました。代表は自身でもブログを書いていて、毎日更新しているようだったので、ここからもリンクを貼ってもらうことにしました。
【本件の結果】
この件に関して結果を申し上げると、この語学教室のホームページは、二ヵ月後に検索エンジンの検索結果の1ページ目に表示されるようになりました。そしてその半年後、代表一人では賄いきれない程の生徒が入会を希望しているとのことでした。
4.結論
ホームページでの集客は、顧客をひきつけるホームページ作りと、それを顧客にみてもらう環境づくりの2本立てで進めていく必要があることを今回の件で実感しました。
この語学教室の「ホームページの集客」としての成功は、顧客の悩みを解決するという視点から書かれた内容が顧客を引き付けたことと、代表の地道なSEO作業の結果、検索エンジンに上位表示された事だと考えます。
ホームページでの集客に関しては、零細企業のオーナーもやってみたいと思いつつ、とても敷居が高いと考えています。今回の語学教室の代表もITはあまり詳しくありませんでしたが自分でこれだけのことをすることができました。この様なオーナーに、IT活用を勧める場をもっと作っていく必要があると考えます。
ITC 中谷 正明