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従業員の高齢化とITについて

1.はじめに

 近年、多くの学生や若者は日常的にITを使い、コミュニケーションに活用しています。先日発売されたiPad3の発売初日には数百人の行列ができ、世界中で大フィーバーだったとニュースで流れていました。携帯の半分はスマートフォンになっているとも言われています。
 また、FacebookやMIXIに代表されるSNSや、一行掲示板Twitterを使って政治家までも情報を発信しています。世の中はそれだけ急激にIT化が進んでいます。
 しかし、この様な世の中でも、ITとは無縁という人もたくさんいることは確かです。特に50代以上の高齢者はITを使ったことが無い人もいます。
 高齢化社会が進む日本では、年金の需給年齢が上がっていき、将来的には70歳定年も笑い話ではなくなってきました。
 もし、定年が70歳になれば、今50歳の人はあと20年働くことになります。これだけIT化が進む社会で、将来的にこの人たちは「ITとは無縁です」と言えない状況に追い込まれると思います。

2.序論

 高齢化が進む日本では、企業の平均年齢は年々あがっているのが現状です。特に、バブル期初めに入社した社員は50歳くらいになっており、このときに従業員を大幅に増やした企業は、50歳くらいの年齢の従業員を多く抱えています。普段からITに関わっている人は問題ありませんが、ITとは無縁の現場などから、高齢になったことを理由にオフィスへ異動となった社員はITを使うことに戸惑いを感じずにはいられないでしょう。
 わたしもたくさんのこの様な人たちを見てきました。慣れた人なら10分で終わる仕事を1時間以上かけて、一本指でキーボードを叩いていました。現場でバリバリ働いていた時と、オフィスであまりにも効率が悪い作業をしている今を比べて、今の自分にふがいなさを感じていると言っておられたのを今でもはっきり覚えています。
 わたしの知っている企業では、今後、現場から管理部門などに異動する可能性がある人はもちろん、そうでない人にも最低限のITスキルをみにつけてもらい、会社全体でITスキルの底上げを図る必要があると考えているようです。
 今後はITとは無縁だったこれらの従業員のITスキルをどうやって向上させていくかは、多くの企業の課題だと考えられます。

3.本論

【きっかけ作り】
 ITに関わっていない従業員たちは個人差もありますが、多くの場合ITを使えるようになりたいと考えています。しかし、多くの人たちはそのきっかけを掴むことがなかなか出来ないようです。
 わたしが以前働いていたオフィスでは、やってみたいが家にパソコンが無いとか、マニュアルのとおりやってみたが上手くできなかったので諦めてしまった等という話がよくありました。
 今後、高齢の従業員にITを使って仕事をして欲しいと考えている企業は、まず従業員がITに近づける環境を作っていく必要があると考えられます。
 よくあるのが社内でパソコン教室を定期的に開くということです。まず、パソコンを触ってもらって、パソコンの楽しさを知ってもらうということから始めるという考え方です。 パソコン教室の内容が楽しいので家で買ったという話も何度か耳にしたことがあります。わからないところは、社内パソコン教室で聞いて勉強するのだそうです。
 まず、この様なきっかけ作りをしてあげる事が大事だと考えられます。

【動機付け】
 動機付けという言葉よりも、やる気を持たせるといった言葉がいいのかもしれません。従業員にITスキル向上についてやる気を持ってもらうことはとても重要です。そして、業務に即したITの使い方について目標を持ってもらい、それに向かわせる必要があります。一番ポピュラーな方法は資格をとってもらうという方法です。資格手当てや一時金を出している会社はとても多いです。
 ただ、お金だけでやる気を出させることは一時的なものに終わることも多いので、やはりその人しか出来ないこと、その人が一番詳しいことを習得してもらうのもやる気を維持させる方法だと思います。その様になると、他の人がその知識について聞きにきくるので、教えることになります。そうするとますますやる気が出ます。人から頼られることは、やる気維持についてお金よりも効果があるとわたしは考えます。
 これは一例ですが、わたしが社内システムエンジニアをやっていた頃、ある部門に新システムを導入した時のことです。使用方法の説明会を終えて、数日後、その部門の高齢のスタッフに新システムの使用方法についてもう一度教えて欲しいと連絡がありました。この方は現場からスタッフ部門に異動してきた人で、パソコンを少しだけさわれるという程度で過去にはIT使用暦はあまり無い人でした。わたしは出来るだけ時間を割き、何度もこの方に個別で説明をしました。こうしているうちに、この部門では新システムについて一番詳しくなっていました。その後のこの従業員は新システムについて詳しいと部門内で言われるようになり、若い人から使い方を教えて欲しいと聞かれるようになったそうです。休憩室で話したときに、とても嬉しそうにそのことを教えてくれました。この様なことがあったので、やる気はお金だけではないとわたしは思うようになりました。

4.結論

 これだけのIT社会になっている現在、ITを使用しないで定年まで仕事をすることは、多くの社会人にとって難しくなってきたと考えられます。特に企業では高齢化が進んだといっても、高齢の従業員にITを使わせずに仕事をさせることは、経営に影響を及ぼす可能性もあります。なによりも、ITを使う現場でITを使えない従業員はとても不幸な状況に陥ります。会社も、高齢だからITはむりと諦めずに、従業員を教育していく姿勢が大事だと思います。

ITC 中谷 正明

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