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社内システムマップを整備しよう

ソフトウェアとかシステムというものは、制度や法律と同じで、なかなか目に見えにくいものです。
皆さんが海外旅行に行っても、その国の法律がわかるわけではないのと同じく、会社毎に制度やルール、慣習があります。

「システム」という言葉が、コンピューターシステムだけではなく、ルールや制度、秩序等、多様な意味を持っているのはご承知のとおりです。
Galaxy systemと言えば、銀河系のことですし、complex systemsといえば、数学の複雑系のことです。

さて、中小企業のIT化を進める場合、大きなシステムをどーんと入れて、これでなんでもできてしまう、というような仕組みは作れません。
要所要所でいろんなソフトやシステム、あるいはWebサービスを組み合わせて会社全体の「システム」を構成することになります。そしてその全体像を見てバランス経営を進めるのは社長であり会社幹部の役割です。ところが、この会社全体を見通すというのが想像以上に厄介で、意外と見えていない経営者が多いように思います。

インターネットの普及やIT技術の進化により、会社には知らず知らずの間に大小さまざまな情報システムが入り込んでいます。

販売管理や経理システムといった、いかにもシステムというものはもちろん、取引会社への受発注に相手先が指定するWebサイトを使っていたり、現場が作業を効率化するためにエクセルマクロを使っていたり、顧客管理に年賀状ソフトを使っていたり…結構いろいろあるはずです。

この中には企業活動の中で重要なデータを扱うものもあります。たとえば顧客データ。販売管理ソフトにも顧客マスターとして存在しているでしょうし、年賀状ソフトには名刺データが登録してあります。企業活動に資する情報システムを考える際に、こうしたシステムの存在に気付くかどうかはとても大切です。

逆に、情報が整理されてないと気付く場合もあります。製造原価の管理が黒板に書かれているだけであったり、社内にある社員の気づきや創意工夫が整備されていなかったり。さらには、導入当初は意味があったが、他のシステムとの関係等を考えてみると、今になっては二重管理になっていて邪魔なシステムもあるかもしれません。

そこでオススメなのが、システムマップです。システムマップという言葉は私の造語です。別にどういうフォーマットでどう書くべきかという決まりごとはありません。
システム化しているかしていないかに関わらず、会社全体の主な仕事を1枚の紙の上に書き出して、その仕事に何のシステムが関係しているかをマッピングしてゆきます。

A3用紙1枚くらいで、数名が頭を寄せ合って1日くらいで整理できる程度のものが良いでしょう。全体が見渡せることが大切です。

まず、A3用紙を横置きします。そして縦軸に業務を実施する部署や仕入れ先、顧客等を3~6個程度置き、横軸に業務の上流から下流をマッピングします。
例えば、企画、設計、仕入、製造、販売、顧客サポート、経理といった具合です。

そして、その交差する範囲にシステム名称を記載してゆきます。たとえば販売管理システムだと、営業部門×販売のマスや、調達部門×仕入のマスのあたりにマッピングすることになります。営業日報を共有サーバーに格納しているのであれば、それも一種のシステムですね。営業×販売のマスには、営業日報データとも書いておきます。複数のマス目をまたがるものもあるでしょうし、一つのシステムが飛び地のようにいくつかの業務にまたがって使われている場合もあるでしょう。

ただ、細かいことにこだわったり厳密性を要求してはいけません。販売管理システムのデータは、経理データにつながるから経理にも少し関係する…というようなことを考えていると、マップが書けなくなってしまいます。全体が見通せることが大切ですから、細かくマッピングの妥当性を議論する必要はありません。

さて、マップができたら、これを眺めてみます。システムの機能が重複しているところはありませんか?もし何らかのシステム導入を検討しているとしたら、それはどの部分になりますか?システムとシステムのつながりはどうですか?あるいは、まったくシステムが入っていない部分について、なぜ導入しない(あるいはできない)のか、理由ははっきりしていますか?

目的によっては、そのシステムにかかった構築費用や、導入時の狙いを追記してみるのも良いでしょうし、主要なデータベース(顧客情報や売上情報といったシステム化されたものから、バインダーに綴じたお客様の声といったもの)等を追記してゆくのもよいでしょう。

どのような図であれ、大切なのは、自社にどのようなシステムが入っているのか、またどのような分野にはシステムが入っていないのかを、全体のなかで理解することです。

複雑で面倒な棚卸をする前に、ちょいちょいとシステムマップを書いて、全体から会社のシステム状況を眺めてみることをお勧めします。

ITコーディネータ/太田垣博嗣

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