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ホームページを使った個人事業のマーケティング

1.はじめに
 昨今、ビジネスはインターネット無しでは成り立たなくなってきたといっても言い過ぎではなくなってきました。今まで大企業が完全に優位な立場で広告を行って、ビジネスの最前列にいました。しかし近頃は中小企業がインターネットを使って、大企業よりも優位に広告を打つことが可能になってきました。それもコストをほとんどかけずにです。これは私たちITコーディネーターが支援すべき中小企業にとって、大きなチャンスであると言えます。

2.序論
 小さな加工食品業を個人で営んでいるAさんは、周囲の個人事業主達の話しを聞いてインターネットでの商品販売を行いたいと考えていました。Aさんはパソコンにはなれているかたで、いま話題のFACEBOOKを使ったインターネットマーケティングに取り組んでいました。しかし、結果はあまり思わしいものではなく、一日数時間、FACEBOOKの画面の前で時間を費やしているにもかかわらず、なにも成果があがらないため、諦めムードが漂っていました。彼は私の友人であり、どうしてうまくいかないかわからないと相談されたため、今回は無償で支援させていただくことになりました。

3.本論
【FACEBOOK利用の目的の明確化】
 Aさんに、なぜインターネットでビジネスをはじめようとか確認したところ、製造している加工食品の卸先が年々減少傾向にあるため、新規の卸先を開拓したい。また、可能であれば、インターネットで小売りも行いたいとのことでした。

【FACEBOOK活用の問題点の洗いだし】
 まず、彼と一緒に現状の分析と問題点を洗い出すことにしました。

①彼は本業の食品加工に一日のほとんどの時間を使っており、FACEBOOKを使っている時間は趣味の時間や寝る時間を削っている。そのほとんどの時間は、宣伝を目的にしているがため、食品加工に関連する内容の文章の作成であり、間違ったことを書くわけにいかないので、長時間かけて考えるため、精神的にも辛く感じている。

②FACEBOOKは友人間でコミュニケーションをとるために使われるツールであり、ここでマーケティング対象のユーザを集めようと思うと、まず相手の合意を得て友人にならなくてはいけない。この作業に多くの時間がかかってしまう。気がつくと近所の顔見知りばかりが友達になってしまっていた。

③FACEBOOKはリアルな友人だけではなく、会ったことがないネット上での友人も友達として登録するため、商売の事ばかりを書くと友達から外されてしまう事が多い。このため今まで時間をかけて集めたFACEBOOKの友達を数多く失ってきた。

【ツールの検討】
 AさんにとってFACEBOOKというツールを使うことが最善なのかを検討することにしました。
 FACEBOOKはSNSであるため、FACEBOOKのユーザどうしコミュニケーションをとることに関しては優れています。ユーザどうしの親交を深めることが主目的に使われているためです。このような場合、すでにユーザどうしのネットワークが構築されていると、親交を深めるツールとしては最適だと思われます。
 しかし、Aさんの目的は新規の顧客を集めることであるため、Aさんにとってはあまり適していないツールであると考えられます。

 では、ほかに代わるツールがあるかを考えてみました。案としてあがったのはホームページ、ブログ、メルマガ、インターネットモールなどです。

 まず、Aさんが無理せずに出来そうな方法を検討してみました。
 インターネットモールについて検討したところ、集客はインターネットモールで行ってくれますが、運用の費用が高く、また価格競争に陥りやすいので、Aさんが手掛ける加工食品を販売するのは難しいということで候補から外しました。
 メールマガジンについては、読者を集めることが難しく、定期的に加工食品にまつわる記事を書かなくてはいけないので、FACEBOOKの運用と同じ問題を抱える可能性があるということでこちらもやめることにしました。
 次にホームページの運用ですが、Aさんはパソコンを使うことに関してはそれほど苦でもなく、以前から趣味のホームページを作ったりしていたので、これは無理なく出来ることがわかりました。
 ブログに関しては以前から趣味で複数のブログを書いていたようですので、こちらも無理なくできることがわかりました。

 Aさんの本業以外に裂ける時間、本来の目的、ITに関する知識のレベルについて検討したところ、ホームページをつくり趣味のブログを使ってSEOを行うという方法が、一番無理がなく新規顧客を獲得できる可能性が高いという結論になりました。Aさんが扱っている加工食品もニッチな商品である事から、SEOを行うにしてもライバルがほとんどいないということもホームページを作る事にした要因でした。

【本件の結果】
 本件検討から二週間後にホームページが出来上がり、その三週間後に検索エンジンに上位表示されました。現在は週に十数件の注文がはいるようになったそうです。

4.結論
 小規模な個人事業では、インターネットマーケティングをする場合、本業に支障がでないように行わなければ業務が成り立たなくなってきます。
 今回のケースでは、Aさんは自分のペースで仕事のホームページを更新し、ブログは趣味の釣りやお酒などの内容でたのしく更新して、かつビジネスの結果も少しずつですがだすことが出来ました。
 個人事業ではその事業に適した方法でITを活用していかないと苦労ばかりして、結果的には辞めてしまうパターンも多くなると考えられます。
 このような個人事業主がITについて相談できる場が今後もっと必要だと考えられます。

ITC 中谷正明

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